The Amsterdam String Quartetによるハイドンのストリングカルテットを聴いている。Channel ClassicsがリリースするSACDはどれも素晴らしい音質で、PentaToneと並んで私が最も敬意を払うレーベルのひとつだ。
以前Channel Classicsの社長とメールを交わしたことがある。彼はアメリカでSACDマルチチャンネルを熱心に聴く人がいる事を喜ばしく思ってくれて、とても熱心に芸術としての音楽録音・再生技術を語ってくれた。私が日頃から考えている事、感じている事をとても肯定的に受け止めてくれる人で、クラシックの生演奏に一番近づけるのはマルチチャンネルである、という信念を共有する一人である。
こちらはPentaToneのハイドン。これは1974年の4チャンネル録音。センターチャンネルが無いのが70年代のマルチチャンネル。PentaToneは当時の4チャンネル録音も積極的にマルチチャンネルでリリースしている(当然センターは無い)。センターが無くてもリアが再生するホールトーンが音楽全体に奥行きを加えてくれる。驚かされるのは音質の高さ。今から40年近くも前の録音であるにも関わらず、最新の録音と比較しても全く遜色無い。マスターテープのクオリティを最も忠実に再現できるDSDならではの音質だ。
PentaToneはもともとPhillipsにいたエンジニアが独立して創ったレーベル。Phillipsは何度か買収されて今では独自レーベルではリリースもしなくなったが、大衆迎合・市場主義に同意できなかった志高きエンジニアが独立し設立したレーベルだけに、音楽文化や録音に対する熱意は半端じゃない。その情熱は一枚一枚のSACDに凝縮されている。知人にマルチのデモをする時は、ほぼ決まってPentaToneかChannel ClassicsのSACDだ。こういう真面目なレーベルこそオーディオファイルや音楽ファンは応援するべきだ。