妻が里帰りしているので年明けまで私一人。そうなればやる事と言えばリビングのElipsaのセッティングをあれこれ変えて音がどのように変化するか実験すること。昨夜は二通りの実験をした。一つは背後の壁から1.5メートル離す事と、スピーカーの間隔を3メートルにすること(普段はそれぞれ1メートルと2メートル)。
まず背後の壁から1.5メートル離すと、スピーカー本来の音色を聴く事ができる。あまり知られていないが、Elipsaの背面にある3つのポートのうち最上部のポートはバイポーラー用のポートだ。従って後ろの壁との距離が音色に大きく影響する。また、一般論においても後ろの壁から離さないと壁との共鳴音が混ざり音がおかしくなる。これは人間でも実験する事ができる。壁から離れて「あー」という声を出すのと、壁に背中をぴったり合わせて「あー」と言うのでは出てくる声が全然違うのが分かると思う。
壁から1.5メートル離したElipsaは人間で言うところの「滑舌が良くなる」状態となる。もともとElipsaのリングラジエーターは輪郭をうまく描くが、それに更に磨きが掛かった感じになる。余計な壁の共鳴もなくなり、とてもすっきりした音になり透明感が増す。
次にスピーカーの間隔を3メートルにしてみた。この間隔は家庭でセッティングするにはかなり広い。Elipsaのバッフルはご存知の通り広く楕円なので鳴り方は特徴的だが、3メートル離すと更に個性が増す。まずサウンドステージが非常に大きくなり、正に「スピーカーが消える」感じとなる。音の広がりが半端じゃない。正に音が360度に広がっているという感じで、特定の角度に音が「放射」されているという鳴り方ではない。これこそが仮想無限大バッフルの真髄だ。
もっと離したらどうか、と家具を動かして4メートル近く間隔を広げてみた。スピーカーの存在はさらに希薄となり、部屋全体が音で満たされ何とも不思議な感じだ。ただこれだけ広げるとなると相当大きな部屋が必要で、更に内振り角度も付けないと中抜けする。しかしこの鳴り方は非常に魅力的で、SACDマルチで前方3本のElipsaで鳴らしたら中抜けも解決するしどんなに素晴らしい音楽が楽しめるか、などと危険な妄想を抱いてしまった。
Elipsaは大きな部屋でこそそのポテンシャルを全て引き出せると感じた。