イタリアのバイオリン奏者、ジュリアーノ・カルミニョーラによるヴィヴァルディの作品集。彼はオリジナル楽器を使った沢山のヴィヴァルディのバイオリン協奏曲を録音しているが、ここに紹介しているCDの多くは世界初の録音だったりする。ヴィヴァルディと言えば「四季」が超有名だが、耳タコものの「四季」よりもここにある協奏曲の方が個人的には聴き応えがある。ヴィヴァルディのバイオリン協奏曲は沢山残されておりどれも「似通っている」と言われるが、確かにそれは当たっていると思う。初めて聴く曲でも「ああ、ヴィヴァルディの作品だろうな」と思わせる「ヴィヴァルディ・サウンド」があって、それが人によっては低評価に繋がっている場合もあるが、私にとってはどれも美しく、聴いていて幸せな気分にさせてくれる作品ばかりである。
特に「Concerto Veneziano」(ヴェネツィア協奏曲集)。これは一番のお気に入りで、ヴィヴァルディ以外の曲も収録されているが最初の曲のRv583が素晴らしい。第一楽章のソロの旋律が大変美しく「これぞイタリアの美!」と唸らせてくれる。このCDはCDとSACDと両方持っていて、ブックレットの写真が若干違っている。SACDはマルチチャンネルも収録されていて、CDとの聴き比べではそれぞれの音作りの違いが際だっており興味深い。
上記のアルバムの他、お勧めは以下の作品だ。
ヴィクトリア・ムローヴァとの共演も息がぴったり合っていて素晴らしい。彼女はベートーベンのバイオリン協奏曲のあまりの美しい演奏に感動して以来のファンだが、ヴィヴァルディの演奏ではベートーベンの時と違った明るい表情を見せてくれて楽しい。ジュリアーノ・カルミニョーラによるクールで渋い演奏ともとてもマッチングしている。
音質はどれも文句なしの高音質録音。弦の美しいソナスファベールで聴くには最適のアルバムだ。美しい弦の音を聴いてみたい人は是非聴いてみて欲しい。
ARCHIVより。