ソナスファベールのエリプサを導入してから、あと1週間で満3ヶ月になる。この間1週間ニューヨークへ行った期間以外は1日に最低2時間は鳴らしていたから、100時間と言われるエージングは終了している事になる。買った当日、初めて鳴らした時は隠ったような濁ったような音で閉口したが、2時間を過ぎた頃から変わり始め、今ではとても魅力的な音を毎日提供してくれる。
ソナスファベールの良く言われるボーカルや弦の音の素晴らしさは評判通りであり、期待通りだ。Stereo Sound誌では「ジャズはクラシック以上に良い」というような書き方がされていたが、それには賛同できない。やはりソナスファベールはクラシックを聴く為のスピーカーである、そう断言したい。そもそも「評論家」と称される人々は実質的には企業と癒着した文才のあるフリーランス営業マンであって、そういう人たちが書く文章は読んでいてワクワクするものであっても、鵜呑みにはしないようにしている。この「・・・クラシック以上」というくだりも、あまり「ソナス=クラシック」という固定観念を持たれるのはちょっと、というメーカー側の意向を汲んだものだろう。
ところでエリプサで色々聴いてみて、一番相性が良いと感じるのは室内楽だ。カルテットなどを聴いていると、まるで自分の部屋に演奏者を招いて演奏してもらっているかのようなリアルさがある。ボーカルは生々しく、Sophie Milanなどかなりセクシーだ。ただ交響曲は、さすがにマルチで得られる感動が得られない。いつかソナスファベールでマルチを組んだら最強だと思う。ただ問題はセンターで、エリプサは1本売りしていないからどうしてもペアで買う事になる。そうすると余った1本をどうするかという問題が残る。1本で買いたい人が見つかれば踏み切っても良いが、マルチで聴く人となるとなかなか見つからない。かと言ってクレモナシリーズ専用のセンターチャンネルでは全く役不足なので、困ったものだ。