我が家に来てから2年が経ったVienna Acoustics Beethoven Concert Grand(日本名 T-3G)。スピーカーはメカニカルな装置な為に頻繁に使ってやらないと音が悪くなる。ここ最近は寒いのでどうしてもリビングにあるソナスファベールで聴く事が多いが、今夜はウィーンアコースティックで交響曲をマルチで聴いている(しかし真空管28本から成るマッキン・ソナスシステムは本当に暖かい)。
ウィーンアコースティックのスピーカーは価格が良心的だが、音質はその価格を遙かに凌駕する。デザインと木工製品としての付加価値が高いソナスファベールとは反対の性格だ。ウィーンアコースティックをソナスファベールの製品を聴き比べた場合、音だけを聴けばT-3GはCremona Mクラスだ。しかし両者には約2倍の価格の開きがある。デザインと木工技術に2倍を出す価値を見いだせる人にはCremona Mを、そうじゃない人にはT-3Gを勧めたい。しかしそう書くとウィーンアコースティックの木工は大した事が無いようだが、実は造りの丁寧さと美しさでは全く引けを取らない。ただソナスファベールはデザインの美しさに目を奪われるのだ。やはりイタリアのデザインは美しいと思う。ちなみに家内はソナスのデザインはあまり好きでは無く、ウィーンアコースティックのミニマリストなデザインアプローチが好きなんだそうだ。確かに20年経ってもT-3Gのデザインは飽きが来ないと思う。
ウィーンアコースティックの音はふくよかで暖かく、そして優しい。音のひとつひとつを分析的・神経質に再生するタイプのスピーカーとは違って、もっと大らかでさりげない。そう書くとソナスファベールと似ているようだが、言葉の形容詞は似ていても両者の音はハッキリ違う。ウィーンアコースティックが雄大な音を奏でるとすれば、ソナスファベールにはもっと音に芯があり、実体感が伴う。優劣の問題というよりも性格の違いだ。
他のオーディオファイルの音を聴いたりオーディオ屋で様々なスピーカーを聴いていても、やはり惹かれる音はウィーンアコースティックかソナスファベールの音だ。分析的で機械的な音はちょっと自分には合わない。試聴室などでパッと聴いて「凄い!」と思うスピーカー程聴けば聴く程につまらなく感じてしまう。反対に試聴室で短時間聴いて「特に・・・」と思うスピーカー程段々と馴染んでくる。この辺の感覚は理屈ではなく、生理的なものだろう。
今週末は3連休。そして年末年始は2週間半の休みだ。CDやSACDを沢山注文したので、ウィーンアコースティックやソナスファベールの奏でる音を存分に味わって楽しい年末年始にしたい。何せ家内は私を置いて日本へ里帰りしてしまうのだ。このチャンスを置いて他にガンガンに鳴らせる機会は無い!