日本はもう26日だが、こちらはまだ25日クリスマスの午後である。クリスマスということで、朝から宗教音楽を聴いている。
1枚目はヘンデルの「メサイア」。John Butt率いるDunedin Consort & Playersによる演奏。ヘンデルのオラトリオでは最も有名な作品で、後半の「ハレルヤ」は誰でも耳にしたことのある名曲だ。個人的には第一部の「Every valley shall be exalted」および「O thou that tellest good tidings」が好み。ソプラノのSusan Hamiltonの歌声は大変美しく、エリプサで聴くと官能的である。このアルバムはLinn RecordsによるSACDで、2枚組み。マルチチャンネルと2チャンネルとがあり、マルチチャンネルは非常にレベルが高くレファレンスとしている1枚。前方3チャンネルは1:1:1で、こういう素晴らしいアルバムを聴くと前方3チャンネルを同じスピーカーで合わせたいという衝動にかられる。2チャンネルの方も逸品で、真空管アンプで鳴らすエリプサは人の声を本当に魅力的に再現する。合計で2時間半という大作だが、歌詞を追いかけながら聴くのもまた良い。
お次はバッハの「マタイ受難曲」。こちらも同じ演奏家によるもので、同じくLinn Recordsから。SACD3枚組みで、演奏時間は2時間45分程という大作。このような長大な作品はクリスマスなど理由が無いとなかなか最初から最後まで聴き通すことはできないが、毎年外出する用事が無ければ宗教音楽を一日中聴いているというのが私のクリスマスの過ごし方である。
こちらもマルチチャンネルのお手本のような素晴らしい出来栄えで、それぞれのパートがどこに立って歌っているか手に取るように分かる。教会の豊かな響きや空間の大きさなども感覚的に感じ取ることができ、この音楽体験はライブ以外ではマルチチャンネル以外不可能である。
朝から6時間近くぶっ通しでこの2つの作品を聴いた。夜はクリスマスパーティーがあるので、美味しいものを食べながら耳に休憩を与えようと思う。