Vienna Acousticsのスピーカーを導入してから3年が経った。当時たまたまブラッと寄ったオーディオ屋で冷やかしに入ったつもりが、気が付いたら買っていたというありがちなオチ。それから3年間旅行で家にいなかった日以外毎日欠かさず聴いている。
この部屋はSACDをマルチチャンネルで聴く為の部屋。アンプとソースは相変わらずSonyのS-Master Proのいわゆる「AVアンプ」だ。写真にはSonus faber Concertino Domusが写っているが、マルチで使うのはBeethoven Concert GrandとMaestro Grand、そしてリアにMirage MBS2。サブウーファーはREL R505だ。Beethoven Concert Grandはウーファーを3基搭載していて低域はかなり充実している。ブログでは低域が暴れるというインプレッションを散見するが、私が聴いている限りではそんな事はなく、むしろシンフォニーを聴くなら抜群のバランスだと思う。生演奏を聴けば分かるがオーケストラの音は中低域を中心とした重心の低い分厚い音だが、ウィーンの耳の肥えた人がスピーカーを造ると音のバランスがきちんとしている事に感心する。製品にも楽器や音楽家の名前を与えていて、クラシック音楽への理解や親しみを感じる。Beethoven Concert Grandは大編成のシンフォニーをとても雄大に鳴らし、この価格でここまでのスケールで鳴らしてくれる製品はあまり無いと思う。特にマルチチャンネルでSACDを聴くと、生演奏に迫る臨場感を味わえる。
センタースピーカーはMaestro Grand、これはスパイダーコーン2基を搭載したモデルで、フロントにポートが2つ付いている。この設計を見ればシアター用である事は一目瞭然だが、低域もしっかり出るしツイーターはGrandシリーズのメインスピーカーと音色を揃えてあって全く違和感は無い。ただスケール感は恐らくMozart Grand程度なので、マルチチャンネルでフロント3チャンネルが1:1:1の録音だと多少物足りない感じがする。真にハイエンドな録音はフロント3チャンネルが1:1:1で録られているので、いつかセンターもBeethoven Concert Grandにしたい。ただVienna Acousticsは1本売りしていないので、新たにペアを買って1本だけ使うか、あるいは事故品で片方だけ無傷なものを買うかしか方法は無い。一応ディーラーにはBeethoven Concert GrandかSonus faber Elipsaの1本ものが出たらすぐに連絡するようにとは伝えてある。
3年経っても新譜のSACDを聴くたびにこのスピーカーの奏でる音楽の素晴らしさには感動をもらっている。やはりシンフォニーはマルチチャンネルで聴くべきで、マルチチャンネルが再現する音楽は遥かに高額なElipsaでさえ全く歯が立たない。2チャンネル拘泥派こそ一度はマルチチャンネルに挑戦すべきだと思う。
Beethoven Concert Grandは大変気に入っているが、気になるところもある。私はほぼこのスピーカーを大編成のシンフォニー専用にしていて、シンフォニーを聴くなら満点のバランスだが、女性ボーカルは多少口が大きくなり年齢が上がる。反面センターのMaestro Grandは人の声をメインに再生するように造られているので素晴らしいボーカルが楽しめる。Maestro Grand2本をメインスピーカーで聴けば、もしかしたら凄い事になるかも知れない。その他全体的にちょっと緩い音がするので、メリハリのある音楽を聴きたい人、シンフォニーよりも他のジャンル(室内楽、ポップス、ジャズなど)の方をより多く聴く人にはBeethoven Concert GrandよりもBeethoven Baby Grandの方をお勧めしたい。
ところで我が家のマルチチャンネル環境で使っているSonyのアンプ、これはすでに発売から6年目であちこち誤作動するようになってきた。時々SACDをマルチチャンネルで聴いた後に再び再生ボタンを押すと、どういう訳かSACDとしてではなくDVD-Audioと誤認識して再生されない場合がある。その他フロントパネルのアルミ製のドアのヒンジが折れてしまって、閉まらなくなってしまった。次に買い替えるならSonyではなく、DenonかPrimare辺りにしようと思っている(やはりSonyは耐久性に難がある気がする)。ただMcIntoshのユニバーサルプレーヤーがあるので、余裕があればMcIntoshにするかも知れない。しかしやはりこのS-Master Proの音色は気に入っているので、なるべく長生きして欲しい。SonyがまたS-Master Proに戻れば迷いは少なくなるのだが。