今夜ジャズ好きの同僚が遊びに来たので、彼にとっても耳タコ物の「Kind of Blue」をSACDマルチチャンネルで聴かせた。もちろん彼はマルチチャンネル初体験。「Kind of Blue」は元々3チャンネルで録られているので、SACDマルチチャンネルで聴くと本来録音された通り再生できる事はいつかブログで書いた。
マルチチャンネルで聴くとドラムはライト、サックスはレフト、ベースはセンター、そしてマイルスのトランペットもセンターから聴こえる。センターチャンネルから直接トランペットが聴こえてくるので、2チャンネルで言うところの「定位」という幻ではなく間違いなくマイルスがステージの真ん中に「実在」する。クラシックでも協奏曲においてソリストのバイオリンやピアノが真ん中のチャンネルを中心に聴こえる。ステレオは本来2チャンネルではなく3チャンネルであるべきだといつも思うが、それは生演奏でも人の声でも、音源は必ず視界の真ん中にいるからだ。センターチャンネルが基本で、左右のチャンネルはセンターチャンネルの補助的な存在、というのが正しい音楽再現方法のような気がする(リアは更に奥行きを与えてくれる)。
試しに2チャンネルに切り替えてマイルスのトランペットを聴くと、とたんにトランペットの音像が大きくなり実在感が退く事に気付く。もちろん2チャンネルステレオでしか聴いた事が無い人は「こんなものだ」と思い込んでいるに違いないが、センターチャンネルから聴こえるマイルスのトランペットは実に「生々しくリアル」なのだ。
しかし今回もセンタースピーカーの小ささが気になってしまった。ベースはセンターから聴こえるのだが、メインスピーカーと比較すると低域が随分劣る。対策としてはセンターチャンネルにもサブウーファーを足す事だが、やはりセンターもメインスピーカーと揃えたいという欲求は日に日に強くなって来ている。